『みんなのGOLF』堂・々・復・活!
さあ!ラウンドスタートです!!!!!!!!!!!

2025年3月27日、バンダイナムコエンターテインメントが、「Nintendo Direct 2025.3.27」で発表した『みんなのGOLF WORLD』。6月5日に配信された「State of Play」では9月4日(Steam版は9月5日)に発売されることも明らかになりました。
本作は言わずと知れた、シリーズ累計1400万本以上の実売本数を誇るゴルフゲームの金字塔『みんなのGOLF』シリーズの最新作です。先日、東京・バンダイナムコ未来研究所にて、そんな本作の国内媒体向け発表会が行われ、筆者もこれに参加する機会を得ました。
ベイビーの頃からおもちゃのクラブを振り回し、物心がついた頃にはジュニア用のクラブを授けられ、将来の夢はプロゴルファーだった、元リアルゴルファー・元『みんなのGOLF』プレイヤーの筆者。今でも一丁前に、コースを回れるだけのクラブセットは持っています。そんなわけで、興奮が抑えきれず、そらもう前日はまったく眠れませんでした。

なお、本取材には、Game*Spark・インサイドを運営する、株式会社イードのゲームメディア及びアニメメディア事業責任者、宮崎氏が同行してくれました。ゲムスパ読者にはおなじみ(?)の、例のタンクトップおじさんです。「昔めちゃくちゃやってたんですよ」とのことで、当日は『みんなのGOLF』デイにすると駆け込んできました。
本稿では、そんな『みんなのGOLF』タンクトップおじさん宮崎氏、『みんなのGOLF』まだお兄さんの筆者の2名が、ウキウキで突撃した発表会と、試遊体験の模様をお届けします。結論から言ってしまうと、もうめちゃくちゃに楽しみました。心配するなかれ。正真正銘みんな楽しめる『みんなのGOLF』の新作です!
「ゴルフを誰でも楽しめるもの」にした金字塔
さっそく実機プレイ…!と行きたいところですが、まずは、プレゼンテーションの内容を通し、改めて『みんなのGOLF WORLD』と、シリーズの歴史を振り返りましょう。
プレゼンテーションに登壇したのは、本作のプロデューサーを務めるバンダイナムコエンターテインメントの竹本尭史氏です。

シリーズ歴代の作品は、主にPlayStationプラットフォームで展開されてきた『みんなのGOLF』。長年に渡り、販売は現ソニー・インタラクティブエンタテインメント(以下、SIE)、開発がクラップハンズというタッグで展開されてきましたが、本作では、販売はバンダイナムコエンターテインメントが担当。くわえて、PS5のみならず、ニンテンドースイッチ/PC(Steam)のマルチプラットフォームで展開されます。
発売日は9月4日(Steam版は9月5日)で、発売地域は日本・北米・欧州・アジア。プレイヤー人数は1~4人(オフライン/オンライン)で、音声は、日本語・英語に、表示言語は日本語と英語を含む、9つの言語に対応します。なお、プラットフォームを跨いだクロスプレイは非対応です。
これまで遊んだことがないという方のために改めて説明しておくと、本シリーズ最大の魅力は、リアルでプレイするには少々ハードルが高い、ゴルフというスポーツを、老若男女問わず、ゲームの中で気軽に体験できるという点にあるでしょう。

シリーズおなじみの「3回押しショット」は、とてもシンプルな操作です。ですが、風、コースのコンディションといった、元来のゴルフが持つ深い戦略性を掛け合わせ、シンプルな操作という土台の上で、奥深いゲームプレイを実現しています。
さらに、スーパースピンショットに代表される、“ゲームならではの要素”を盛り込み、初心者からベテランまで、リアルのゴルフ経験も問わず、「ゴルフをだれでも楽しめるもの」として確立してきたのが、この『みんなのGOLF』というシリーズです。

そうして、長年に渡って確立されてきた伝統は受け継ぎつつ、時代に合わせたモダナイズでパワーアップ。グラフィック・演出はすべて刷新され、キャラクターデザイン・コース・UI・モーション・ボイスなどは新規で制作。操作モードのカスタマイズに代表される、ユーザビリティも向上し、複数人でプレイする際の、バラエティモードも充実しました。

根本的な部分は伝統を受け継ぎ、歴代作品のシステムを基盤とすることで、「我々が知っている“みんなのGOLF”」クオリティは、しっかり確保されています。後のプレイ編でも触れますが、お世辞抜きにプレイ感覚は「体が覚えている」ものでした。
ゲーム性を維持しつつ、アップグレードされたシステム
本作でフォーカスされたのが、「よりリアルなゴルフ体験」という点。ゲーム内の時間経過によって、ラウンドスタート時は朝でも、終わる頃には夜といった具合で、ビジュアルはゲーム内のリアルタイムで変化していきます。

天候も同様で、ホールのスタート時だけでなく、ホールのラウンド中にも、刻々とコンディションが変化していきます。突然の雨、雪に襲われることもあれば、カラッと晴れることも。


こうしたリアル感を演出するため、実際のゴルフ場で生音を収録したというのも、興味深いポイントです。4段階のスイングの強さ毎に、インパクト(クラブがボールにヒットした時)の音を収録したり、クラブの種類、フェアウェイやバンカーといった、打つコンディションごとの音も収録したりしているとのこと。プロとアマチュアのスイングの差も収録しており、音でも臨場感を味わえます。

能力を強化するギアセットも、様々なタイプが登場します。従来からのビッグエアー、インフィニティといった定番セットから、天候や時間が刻々と変化する本作ならではの、初登場となるセットも。
また、現代に沿った内容の一環として、シリーズとしては初となる、使用するクラブに「ユーティリティ」が追加されました。これはアイアンとウッドの中間的な存在で、ウッドより飛距離が出ず、弾道も低くなりますが、アイアンよりもまっすぐ飛ばしやすいショットを打てるという点で、ゲーム的に差別化が図られています。
それに伴って、ラウンドスタート前には、「ユーティリティ中心の現代スタイル」「ウッドとアイアンのクラシックスタイル」といった具合に、コースへ持ち込むクラブセットを選択できるようになりました。
時代に合わせたアップデートの一環として、操作モードには、昨今のゴルフゲームを踏まえ、ショット前にスピンを入力するタイプ1、新しいカメラ操作を導入しつつ、ショット中にスピンを入力するタイプ2、従来操作のタイプ3、計3種類が実装されています。



事前にスピン操作を決めるタイプ1については、「ショット中にスピン方向を選択し、インパクトも決めなければならない仕様は、初めての方にはハードルが高いのではないか」という意見もあり、今回の開発・採用に至ったとのこと。ショット前にスピン方向をセットすると、インパクトで自動的にスピンがかかります。
ショット方法については、おなじみの「従来ショット」、従来ショットの亜種「ゲージショット」、リアルなゴルファー体験が楽しめる「本格ショット」の3種類。『みんなのGOLF 6』で使用者が多かったと思われる、ゲージショットと本格ショットを組み合わせた「サークルショット」が実装されていないのは少々残念ですが、十分なバリエーションではないでしょうか。

ラウンド中に使えるショットモードは、従来からの飛距離を伸ばす「パワーモード」に加え、キャラクターごとに一定の条件と制限のもとで固有の特殊なショットが打てる「スペシャルモード」が追加。これらを駆使し、高スコアを狙ってみるのはいかが?
あのキャラクターが復活!ファンにはたまらない!
そして、シリーズのファンであれば、間違いなく気になるのは、登場するキャラクターでしょう。ひとつ朗報をお伝えすると、その数は過去シリーズの中で最大級とのこと。

歴代作品からのリバイバルも多く、「スズキ」、「グロリア」、「クーガー」といった人気のキャラクターたちが、プレイアブルとして堂々の再登場。クーガーさんは前髪を下ろすヘアスタイルになっており、時代の流れを感じますね。



グラフィックは現代ハードらしいものとなり、表情、コース上の仕草など、よりイキイキと描かれますが、『みんなのGOLF』らしい、頭身がデフォルメされたスタイルは健在。グラフィックの進化とデフォルメのバランス感が、とても良い感じだと思います。
後のプレイ中、「リアル頭身もいいけどさァ、『みんなのGOLF』はやっぱコレだよコレ」と筆者が勝手に興奮していると、「キャラクターの全体的なバランスは『みんなのGOLF 5』をベースにしました。そう仰っていただけてよかったです」と、竹本氏が話しかけてくれました。

キャラクターのチョイスは、『みんなのGOLF WORLD』というタイトルの通り、キャラクターに設定されている出身地が、ひとつの基準になっています。登場するコースも同様で、世界各国をモチーフとした、景観も難易度も様々なコースが収録予定。



なお、「一部、ボイスアクターが変更されているキャラクターがいます」と説明がありましたが、筆者が確認した限り、グロリアは井上喜久子さん、クーガーは池田秀一さんで、過去作からの変更はありませんでした。キャラクターボイスが豪華なことでも知られるシリーズですが、本作も変わらず豪華です!
トラディショナルとモダナイズ。キャラクターを引き立たせる取り組みも
「皆様にプレイしていただくのが、一番早いと思いますので……」と、鶴の一声でプレゼンテーションは早々に終わり、実機でのプレイを体験することに。筆者もこれに備え、前日まで『4』~『6』までをプレイし、感覚を温めてきました。

先にお断りしておくと、今回プレイしたのは、開発・調整中のテスト版となります。そのため、キャラクター・コースの制限があるなど、製品版の内容を、そのまま体験できたというわけではありません。とはいえ、基礎的な部分は十分に確認できたので、そちらの模様をお届けしましょう。
本作に搭載されているモードは、大きく分けると3種類。1人用の「ひとりでGOLF」、最大4人までの「みんなでGOLF」、オンラインで他のプレイヤーと遊ぶことができる「オンラインでGOLF」です。ここは、従来の作品から変わっていません。

キャラクター・コース・ギアといったアンロックなど、ゲームの進行に大きく関わるのが、ひとりでGOLFの「チャレンジ」モード。指定された条件でコースをラウンドし、一定の成績を収めることが目標です。これらをクリアしていくことで、プレイできるコースや、獲得可能になるギア、後述するワールドツアーが増えていきます。

さて、先に名前だけ登場しましたが、キャラクターたちを深堀りする「ワールドツアー」についても紹介しておきましょう。こちらは各キャラクターのパーソナリティを深堀りするストーリー形式のモードとなり、チャレンジモードの進行にあわせてプレイできるチャプターが増えていきます。各キャラクターのエピソード1をクリアすることで、そのキャラクターが他のモードでもアンロックされる仕組みになっているようです。


こうしたキャラクターのパーソナリティは、過去作のデータや資料をかき集めたうえで、本作からの新たな設定も導入されているとのこと。ある意味、“キャラゲー”でもある『みんなのGOLF』シリーズですが、そうした側面を生かした、なかなかいいモードではないでしょうか。
そして、パーティ的なお遊び要素が強いモードとして新たに搭載される「バラエティ」モードも注目です。今回はその中のひとつ、「カラフルストローク」をご紹介しましょう。

画像を見ていただけると分かりますが、コース上の至る箇所に「?」マークがついたエリアがありますね。ここにボールが落ちるとルーレットタイムとなり、出た効果によって、奇想天外な、とんでもハプニングが発生するというものです。「?」マスだけでなく、基本的にコースのどこにボールが落ちた場合でも、ルーレットこそ発生しないものの、なんらかの特殊な効果は発動するようになっています。


さらに、ラウンド中の回数制限こそあるものの、「ドキドキチケット」というアイテムも存在し、自身を優位に立たせたり、相手を不利に陥らせたりと、シビアなゴルフが、お祭り騒ぎのパーティーゲームへと変貌。過去にも「色物ルール」「色物スロット」といったお祭り要素が登場していますが、今回は“色物”レベルが違います。

もちろん、根本的な腕前は関係してきますが、思い通りのショットが打てないことや、逆にとんでもない逆転ショットを打てたりと、ベテランと初心者、大人と子供など、プレイスキルの差があっても楽しめるモードになっています。これ、絶対に多人数でプレイしたら面白いやつです。親戚の子供たちから、ひたすら妨害されまくる筆者の姿が見えますね……。
間違いないーーこれは これは間違いなく『みんなのGOLF』だーッ!
そんな各モードのプレイフィール、これは本当に『みんなのGOLF』そのままです。正直なこと言うと、販売元が変わり、「みんなのGOLFっぽい見た目の、みんなのGOLFではない何かが出てくるのではないか」という懸念がありました。

同行してくれた宮崎氏も、やはり筆者と同じような思いを抱いていたらしいのですが、「これちゃんと『みんなのGOLF』ですよね」「予想以上というか、普通に『みんなのGOLF』だね」と、2人で興奮を隠しきれませんでした。しまいには「これはめっちゃ『みんなのGOLF』だ」と迷言まで飛び出すくらいであったので、長年のファンの皆様もご安心を。
ボールがランする感じ、スピンの曲がり具合、グリーンのグリッド…。マジで『みんなのGOLF』です。スーパーバックスピンでホーミングチップインを狙ったり、とくに意味もないサイドスピンを掛けまくったり、パワーモードで飛ばして飛距離に喜んだり……。残念ながら、アルバトロスは出せませんでしたが、チップインイーグルまでは出すことができて満足でした。

また、各キャラクターが持つ個性がアップデートされていたのも注目ポイントです。グロリアはバンカーが苦手で、スズキはバンカーが得意といった、伝統的なアイデンティティは受け継がれていますが、前者はスピンなしのウッドでのショットを得意としていたり、後者は朝方に調子が上がらなかったり、天候・時間変化がリアルタイムで発生する、本作ならではの、“強み・弱み”が設けられています。

ちなみに、歴代で雨天候を苦手としていたクーガーは、暗い場所が苦手という弱点にアップデートされていました。アイウェアをいつも手放さない、クーガーらしい弱点ですね。
また、個人的に嬉しかったのが、コース上にギャラリーと、キャディがいてくれること。筆者が最後にプレイしたナンバリングは『みんなのGOLF 6』なのですが、『6』ではキャディもギャラリーも声だけとなり、コース上はプレイヤーキャラクターのみで、正直かなり寂しい感じでした。それが、ティーショットを放てばキャディが全速力で突っ走っていく姿、ベタピンを出せばギャラリーが歓声をあげる姿、これらが復活していたんです。


『みんなのGOLF』を復活させるにあたって、これが前途多難で紆余曲折を経た姿であることは、想像に難くありません。従来からの要素を捨てれば、いくらでも変化のしようはあったでしょう。本作の企画会議でも多様な意見が述べられたはず。
ただ、我々が縛られる重力は会議から生まれたのではないように、本作は『みんなのGOLF』の原点に立ち返りました。肥大化した要素を詰め込んだわけでもなく、誰でも簡単にホールインワンできるわけでもない。ゴルフゲームの金字塔としての輝きを放っていた、“あの”『みんなのGOLF』の姿が、確かにそこにはありました。
『みんなのGOLF WORLD』は、シリーズ初めての『みんなのGOLF』でもいいし、経験者が復帰する『みんなのGOLF』でもいい。リアルなゴルフ経験があってもなくても、ぜひプレイしてみてほしい。だからこそ、少しでも多くの人に遊んでもらいたいと思います。
