上手く動かない原因はどこにある?自動流通生産を効率化『Oddsparks』で実践する、自動化ジャンルのための「プログラミング的思考」 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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上手く動かない原因はどこにある?自動流通生産を効率化『Oddsparks』で実践する、自動化ジャンルのための「プログラミング的思考」

自動化は効率的な生産を実現し、試行錯誤が成長を促します。

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上手く動かない原因はどこにある?自動流通生産を効率化『Oddsparks』で実践する、自動化ジャンルのための「プログラミング的思考」
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約1年の早期アクセスを経たオートメーションRTS『Oddsparks: An Automation Adventure(オッドスパークス:オートメーション アドベンチャー)』がPC/PS5/Xbox SeriesS|X向けに正式リリースを迎えました。タイトルに入っているとおり、自動化ジャンルにおいては珍しいファンタジーテーマの作品です。謎の古代魔術が生み出すロボットのような存在「スパーク」を操って、自動生産のラインを構築しながら戦力の増強を図り、世界の奥地へと冒険の歩みを進めていきます。

近年人気の「自動化」ジャンルは、産業革命を自ら作り出すように、生産と輸送が自動で行えるよう細かいパーツを組み上げていくゲームです。

ゲームが進むに従ってより高度で複雑な生産を要求されるようになり、こんがらがった動線を解きほぐし、時には全面的に再構築を迫られることもあります。一度考え始めたらあっという間に時間を「溶かす」ほどの難しさはあるのですが、その魅力はなんと言っても「全ての責任は自分にある」こと。

自動化ゲームにおけるあらゆる機構は全てプログラムに従って動いているので、プレイヤーの役割は基本的なプログラムのパーツを組み合わせて大きな目標を実行するためのプログラムを組むことです。

それは、効率化を考えて工程を変えていったり、構築したラインを他に応用することを発見したりと、最近注目されている「プログラミング的思考」をゲーム中で実践していくということでもあります。敵の襲来など不測の事態は別にして、全てが規定のプログラム通りに動く機械をうまく動かすもトラブルだらけにするも、プレイヤーの設計以外に要因は一切無いからです。

見落としや計算間違い、ちょっとした凡ミスで機械の働きが大きく変わるので、自分の頭脳の限界と進歩を目に見えて実感できるのが大きな魅力です。思考の中でシミュレーションを行なうのが大好きな人にとっては、自動化ジャンルはたまらない大好物なのです。

とはいえ、ほとんど工場の組み上げみたいなものですから、見た目からとても大変そうだと気後れしている人も少なくないでしょう。実際、オートメーションをしっかり効率化させるためには、プログラムの動き方、数値から計算して設置する方法など、ロジックに基づいて設計することが大事です。ゲーム中のチュートリアルではそこまで詳しく説明されないので、自分で試行錯誤しながら発見していくのもゲームの内と言えるでしょう。

一方でその試行錯誤がハードルを高くしている面もあります。そこでゲームに初めて挑戦する人に向けて、自動生産ラインを設計する様々なロジックのうち、基本的な3つのポイントを説明します。そこそこ難しいので、ちょっと気合いを入れて付いてきてくださいね。

ただし、今回紹介する考え方自体は『Oddsparks』以外でも有効です。せっかくなので本記事を通じて覚えていってはいかがでしょうか?


手順の前後を把握する

自動化ゲームの基本は、資源の生産から二次、三次の加工を円滑に行う流れ作業を実現すること。コンベア式に流れていく生産ラインが止まらないように、生産加工が詰まる原因を取り除いていく作業が大半を占めるでしょう。

本作の場合は資源産出の施設にインベントリ1枠分のストックが付いていて、そこが満杯になれば自動的に生産がストップします。「伐採施設」の場合は丸太20本で満杯なので、これ以上の生産をするためには、ストックから別の施設へ輸送するスパークを配置する必要があります。

輸送スパークは敷かれた道の上を右側通行で往復します。輸送物の備蓄場所があるとそこに荷を下ろし、駆け足で次のピックアップに向かいます。備蓄場所が無い場合は輸送物を持ったまま道を進み続けます。

この構成だと、左にある伐採施設から産出された丸太を、右にある備蓄場所「樽」に運んでいきます。備蓄場所が全て埋まり、導線のスパークが全て輸送物を保持してしまうと、そのラインは生産をストップします。よって、基本的には次の生産施設に流していくか、大容量の保管庫を設置して備蓄を増やしていきます。

スパークは輸送物を最も手前の備蓄場所に荷下ろしします。それを踏まえて、こちらのケースを考えてみましょう。

丸太生産と木材加工の施設「のこぎり台」を一本の道で繋ぎ、その間を輸送スパークが荷運びをしています。のこぎり台の方もインベントリ1枠分の備蓄ストックを持ち、そこが一杯になると加工を停止します。この導線に大容量の備蓄施設「樽」を追加するとき、この導線の右側と左側、どちらに設置すると良いのでしょうか。

重要なのは、手前の備蓄場所が満杯にならない限り次の施設への輸送は行われないという事です。右側に置いた場合、丸太はのこぎり台へ先に消費されるので、丸太の備蓄が貯まり始めるのはのこぎり台のストック、丸太40本で生産した木材20本が貯まった後になります。

左側に設置した場合、今度は逆に丸太の備蓄が優先され、この場合はインベントリ8マス分、160本の丸太が貯まってからでないと木材加工がスタートしないのです。どちらが良いかはプレイヤーが何を優先したいかによるので、丸太の大量納品があるとか、木材の生産を増やしたいとか、それらの目標に応じて配置を変えていくと良いでしょう。

需要と供給、不足と余剰

のこぎり台で木材の生産は動力スパーク2体を配置すると「7.5/min」と表記されています。つまり、1分あたり7.5本生産すると表示されています。木材1本に丸太が2本必要なので、丸太7.5×2=15本/minの「需要」があるということになります。

伐採装置の丸太生産は60/minの「供給量」であるため、のこぎり台を1台設置すると、1分あたり木材7.5本、丸太45本が生産されることになります。このラインに於ける丸太45本は「余剰」になり、備蓄か別の生産に回すことが求められます。

ここで考えてみましょう。木材の生産を増やしたい場合、伐採装置一つに対して何台まで増やせるでしょうか。ここからは計算が必要になるので暗算するなり電卓を用意するなりしましょう。式は「供給量」÷「需要」なので、60÷15=4。つまり4台ののこぎり台で需給のバランスが一致することになります。

需給のバランスが一致しているということは、生産ラインに不足も余剰も発生していない理想的な状態です。木材の備蓄場所さえきちんと確保していれば、最大効率で生産が実行できていることになります。

しかし、複数の部材を組み合わせて生産をするとなると、ほとんどの場合は需給は一致せず必ず不足と余剰が発生します。ほんの僅かなずれがあっても時間の経過で蓄積し、やがて生産ラインの停止トラブルに繋がります。

最大効率を目指すなら分や秒あたりの需給計算を必ず行い、余剰と不足に対するケアを意識して行うことが大切です。先ののこぎり1台の場合だと、余剰45に対して備蓄樽の容量は160。160÷45=3.55...なので、約3分半で備蓄樽も満杯になる計算です。

のこぎり台では木材の次の生産物として「木板」が用意されています。以上を踏まえて、伐採装置から木板の加工を行なうラインをどう構築するかシミュレーションしてみてください。

導線の長さと輸送量

ここまでは生産拠点の需給のみを観ていましたが、次に重要なのが輸送のスピードです。下請け工場でいくら部品を作っても、それを運んでくれるトラックがいなければ倉庫は直ぐに満杯になって生産停止するしかありません。

先ののこぎり台の図では、輸送スパークを1体しか配置していませんでした。簡略化してこのスパークは道のりを1分間に1往復すると仮定します。そうなると、伐採装置のストックが減らず丸太の生産は1本/minまで低下、木材は0.5本/min、つまり2分で1本しか生産できなくなります。計算通りの需給を実現させるためには、生産物を運ぶ「輸送量」を充分用意しなければなりません。

厳密に計算するならスパークの移動距離や道のりの正確な把握が必要ですが、先の仮定のまま進めると、伐採装置とのこぎり台を結ぶ道程の輸送量は1本/minと表せます。伐採装置の生産量60本/minと比較して1/60です。伐採装置を止めさせないためには、現状の60倍の輸送量が必要になります。

輸送量を増やすにはどうすれば良いのか?その手段は主に2つ。「労働力配置の増加」と「道程の短縮」です。「労働力配置の増加」は単純にスパークの数を増やしていくだけです。この道程におけるスパーク1体あたりの輸送量は1本/minなので、60体のスパークを配置すれば生産量に見合う輸送量を達成します。

本作の場合、労働力となるスパークの配置にはコスト支払いなどがないので、とりあえず投入できるだけ投入しておいて、後から間引く程度で考えておけば良いでしょう。もちろんスパーク自体を生産する手間はあるので、あまり労働力を余らせるのも非効率的ですが、その調整は慣れてから気にするくらいで問題ありません。

「道程の短縮」ができれば、同じスパークの数であっても道程を周回する回数を増やせるので、こちらも輸送量の増加に繋がります。例えばもとの道程の半分に設計しなおしたとすると、スパークは同じ時間で2往復できるようになるので、輸送量は2倍の2本/minに改善します。労働力と道程の操作で輸送量を最適に保つなら、道程を短くすれば労働力を減らし、道程が長くなったらその分労働力を追加する。その関係を覚えておきましょう。

『Oddsparks』の世界には危険なモンスターがたくさん生息しており、それらと戦うには強力なスパークを生産して連れていきましょう。スパークの多くが複雑な部材の組み合わせでできていて、潤滑な生産ラインがあってこそ、消耗するスパークを安心して補充できます。

作業は全部スパークに任せて、プレイヤーは最後に回収するだけ……とはなかなかいかないのが現実ですが、今回学んだことを活かしながらそんな理想の不労収入生活を目指し、メンテナンスに靴を磨り減らす自動化ライフを『Oddsparks』から始めましょう!


『Oddsparks: An Automation Adventure』はSteam/PS5/Xbox Series S|X向けに配信中です。なお、Steam版に関してはGame*Sparkの運営するキー販売サービス「ゲムマイド」でも取扱中です。

『Oddsparks』公式サイト
ライター:Skollfang,編集:Akira Horie》

ライター/好奇心と探究心 Skollfang

ゲームの世界をもっと好きになる「おいしい一粒」をお届けします。

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Akira Horie

編集/『ウィザードリィ外伝 五つの試練』Steam/Nintendo Switch好評発売中! Akira Horie

Game*Spark副編集長。平日日中のニュースデスクおよび料理連載や有志翻訳者連載の基本担当。 2021年版以降の『ウィザードリィ外伝 五つの試練』イード側のディレクターも兼務中。

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