『ディアブロ』×『ベルセルク』奇跡のコラボはこうして生まれた!『ディアブロ イモータル』『ディアブロ 4』開発者が語る原作リスペクトと創造の舞台裏 | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト

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『ディアブロ』×『ベルセルク』奇跡のコラボはこうして生まれた!『ディアブロ イモータル』『ディアブロ 4』開発者が語る原作リスペクトと創造の舞台裏

相性のいい世界観の作品同士のコラボはどのように生まれたのか、尋ねてみました。

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『ディアブロ』×『ベルセルク』奇跡のコラボはこうして生まれた!『ディアブロ イモータル』『ディアブロ 4』開発者が語る原作リスペクトと創造の舞台裏
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人気アクションRPG『ディアブロ4』および『ディアブロ イモータル』と、世界的な人気を誇るダークファンタジー漫画『ベルセルク』との衝撃的なコラボレーションが実現します。この歴史的なクロスオーバーはどのようにして生まれ、どのような想いが込められているのでしょうか。その背景や開発秘話を探るべく、両タイトルの開発者を招いた合同インタビューが開催されました。

本稿では、『ディアブロ4』リードアーティストのViviane Kosty氏、『ディアブロ イモータル』リードアーティストのEmil Salim氏が、メディアからの質問に答えた内容をQ&A形式で詳しくお届けします。両作品への深い愛とリスペクトに満ちた開発の舞台裏をご覧ください。


――ディアブロとベルセルクは世界観も少し似ていると感じることがありますが、今回のコラボのきっかけを具体的に教えてください。

Emil Salim氏(以下、Salim):このコラボレーションは非常に自然な流れで始まりました。チーム内で「どこかとコラボレーションするなら?」と考えた時、真っ先に名前が挙がったのがベルセルクでした。両作品にはダークファンタジーという共通テーマ以外にも多くの類似点があります。

特に、人間と、神や悪魔といった超常的な存在との間にある絶え間ない葛藤や対立構造は、ディアブロの世界観とも深く通じます。単なるテーマ性だけでなく、ストーリーテリングやキャラクター描写など、複数のレベルで強い親和性を感じていました。ベルセルクチームに打診したところ快諾いただき、実現に至りました。

Viviane Kosty氏(以下、Kosty):ファン層の重なりも非常に大きいです。ディアブロのファンにはベルセルクの熱心なファンが多く、それはBlizzardの開発チーム内でも全く同じです。開発者の中にはベルセルクを読んで育ったコアなファンがたくさんいます。ですので、このコラボレーションの企画が持ち上がった時、チーム全体がものすごい熱意と興奮をもって取り組みました。

――原作であるベルセルクのアートワークについて、特に感銘を受けた部分や、海外の視点から見てどのように魅力的に映っているか教えてください。

Kosty:ベルセルクのリアルさに根差した中世ファンタジーのアートスタイルは、ディアブロ4が目指しているアートディレクションと元々非常に近かったため、ある意味「非常に簡単なマッチ」でした。ゲームへの落とし込みは自然に進みました。

ただ、ディアブロ4はPCやコンソール向けタイトルなので、そのプラットフォームの利点を活かし、布地の質感や刺繍のような細かいディテール表現には特に力を入れ、よりリッチな表現を目指しました。ベルセルクの持つ重厚な雰囲気を、3Dの世界で見事に再現できたと自負しています。

Salim:ディアブロ イモータルの開発チームにも、ベルセルクを読んで育ったファンが大勢います。個人的にも三浦建太郎先生のアートスタイル、特にその卓越した構成力や、暴力的でありながらもどこか詩情を感じさせる独特の表現に深く感銘を受けています。Kostyともよくその構成の素晴らしさについて語り合いました。

特にインクの筆致からガッツの怒りがダイレクトに伝わってくるような表現は、ゲーム内に何とかして落とし込みたいと考えました。開発期間中は、ベルセルクチームと非常に密接に連携を取り、アートに関するフィードバックをいただきながら進めました。

――先ほど、ダークファンタジーという共通点でゲームへの落とし込みが比較的容易だったというお話がありましたが、逆に今回のコラボレーションで難しかった点や、開発において特に頭を悩ませた点があれば教えてください。

Salim:正直なところ、元々の親和性が非常に高かったため、「特に挑戦的だった」と感じるほどの大きな困難はありませんでした。強いて挙げるならば、ガッツの「狂戦士の甲冑」です。特に狼を模したマントの表現には苦労しました。その独特の質感や動きのアニメーションについては、ベルセルクチームからも非常に強いこだわりがあり、我々も何度もビジュアルテストを繰り返し、協議を重ねて原作のイメージに近づけるよう努めました。

Kosty:ディアブロ4チームとしても、「難しい」と感じたことは実はありませんでした。むしろ、この素晴らしい作品に関われることに皆とても興奮していましたし、何よりも原作の世界観を最大限に尊重したいという想いが強かったです。

調整が必要だった点で言えば「髑髏の騎士」のデザインです。原作に忠実でありながら、プレイヤーが実際に操作した際に肩パッドが他の部分に干渉しないよう、自然なアニメーションに見えるように調整する必要がありました。これは困難というより、より良いものを作るためのエキサイティングな挑戦であり、素晴らしい学びの経験でした。

――今回のコラボ報酬として、ガッツやグリフィスの甲冑などがゲーム内に登場しますが、これらのアイテムはどのように選ばれたのでしょうか? また、原作サイドとの相談や、選定の基準などがあれば具体的に教えてください。

Kosty:ディアブロ4では、何よりも「プレイヤーに本物の体験をもたらすこと」を最優先に考えました。単に見た目を似せるだけでなく、各クラスのゲームプレイスタイルやメカニクス、そして操作した時の全体的な感触に合うかどうかを重視しました。

例えばガッツの要素ですが、近接戦闘主体で怒りに突き動かされる「狂戦士の甲冑」時代の側面はバーバリアンに、そして多様な武器や道具を戦略的に駆使して戦う「黒い剣士」としての側面はローグに、という形で、ガッツの物語における異なる「時代」の戦闘スタイルを反映させる形で2つのクラスに割り当てました。

Salim:ディアブロ イモータルでは、ベルセルクの壮大な「ストーリー」要素をゲーム体験に色濃く反映させることを目指しました。そのため、原作の物語における重要な転換点である「蝕」(黄金時代編のクライマックス)をテーマにした特別なゲーム内イベント“生存者の厄災”を実装しました。

このイベントでは原作同様の絶望的な状況を体験できます。また、もう一つの重要な物語の節目であるゾッドとの戦闘をボス戦として導入し、“真紅のベヘリット”はプレイヤーが入手・強化できるレジェンダリー宝石として登場します。さらに、各クラスで使用できる、ベルセルクに登場する象徴的な武器のコスメティックアイテムも多数用意しました。

Kosty:ベルセルクの世界は非常に広大で、魅力的な要素が山ほどあり、まさにコンテンツの「ビュッフェ」状態です。その中から全てを取り込むことは不可能なので、既存のベルセルクファンが「これぞ!」とすぐに認識でき、かつベルセルクをまだ知らないディアブロプレイヤーも興味を持ってくれるような、最も象徴的な要素を選ぶことを心がけました。

これはディアブロファンにベルセルクを、ベルセルクファンにディアブロを紹介するという、一種の文化交流のような側面も意識しています。

Salim:Kostyの言う通り、選択肢は膨大でした。チーム全体で議論を重ねた結果、ガッツの壮大な旅の始まりであり、物語全体の核となる「黄金時代編」に主に焦点を当てることに決めました。これにより、テーマが散漫になることなく、重要な要素を深く掘り下げ、より濃密なコラボレーション体験を提供できると考えました。

――(ディアブロ イモータルについて)ゾッドとのボス戦や、「蝕」をモチーフにしたイベント「生存者の厄災」について、原作の激しい戦闘シーンや絶望的な雰囲気を、どのようにゲームプレイに落とし込んだのか、具体的なメカニクスや工夫などを教えてください。

Salim:まず、「生存者の厄災」イベントとゾッドとのボス戦は、それぞれ独立したコンテンツとして体験できます。

「生存者の厄災」イベントは、原作の「蝕」の絶望的な雰囲気をゲームメカニクスで再現しようと試みました。イベント中、間欠的に「蝕」が発生します。蝕が発生している間、異次元空間のような演出と共に強力な悪魔が次々と出現し、敵の移動速度が上昇します。

一方でプレイヤーキャラクターは蝕の間、与えるダメージが増加するバフを得ます。この状況をどう乗り切るかがイベントの鍵となります。

ゾッドとのボス戦は、個人的にも開発していて非常に楽しかった部分です。原作におけるガッツとグリフィスが初めてゾッドと対峙する、あの印象的な戦闘のストーリー要素をふんだんに盛り込みました。

ゾッドは原作通り、戦闘中に複数の形態へと変化します。プレイヤーは原作さながらの激しい戦いを体験することになります。また、戦闘が行われるダンジョンの環境デザインも、原作のロケーションの雰囲気を忠実に再現するようにこだわりました。

もし機会があれば、ゾッドと戦う前に、「真紅のベヘリット」のレジェンダリー宝石を装備してみてください。ちょっとしたサプライズを用意していますよ!

――今回のコラボレーションを進めるにあたって、原作サイドから何か特別な要望や指示はありましたか?また、開発チームと原作サイドは、具体的にどのような形でコミュニケーションを取り、すり合わせを行ったのでしょうか?

Salim:原作サイドからの「これが絶対条件」というような強い要望は、全体としては多くありませんでした。ただ、武器の扱いに関しては非常にこだわりがありましたね。具体的には、「どのクラスがどの武器を使用できるか」という点について、かなり正確な指示をいただきました。この点は原作の世界観を尊重する上で非常に重要だと我々も考えていたので、その指示に沿って実装しました。

コミュニケーションについては、開発期間中、ほぼ毎日のように非常に密接に連携を取っていました。我々アートチームが作成したコンセプトアートや3Dモデルなどをプロデューサー経由でベルセルクチームに送り、詳細なフィードバックをいただき、それをもとに修正するというやり取りを何度も繰り返しました。非常に協力的で、スムーズな開発プロセスでした。

Kosty:ディアブロ4チームの場合も、武器の使用に関しては同様に重視しましたが、今回はクラス専用のコスメティックという形でしたので、各クラスのデザインに自然にフィットする形で比較的スムーズに進みました。ディアブロ4側で原作サイドとの間で特に議論や調整を重ねたのは、やはりSalimも言っていたマント、特に狂戦士の甲冑のケープの表現です。

原作でのケープは、まるでそれ自体に命が宿っているかのように描かれています。その独特の躍動感や質感をゲーム内でどう表現するかについては、内部で様々なクリエイティブな解決策を模索し、試行錯誤を重ね、可能な限り原作のイメージに近づけました。

コミュニケーションはディアブロ イモータルチームと同様、ほぼ毎日行われ、非常に協力的でした。我々の新しいアイデアに対しても非常にオープンで、単なる監修というよりはまるで会話をしながら一緒に作り上げていくような、素晴らしいコラボレーション関係でした。

――今回のコラボでは、ディアブロ4では「チー・モーリョ」、ディアブロ イモータルでは「ゴーレム」がペットスキンとして登場しますが、なぜこの2体を選んだのでしょうか? それぞれの選択理由を教えてください。

Kosty:ディアブロ4でチー・モーリョを選んだ理由はいくつかあります。まず、ベルセルクにはペットになりそうな魅力的なキャラクターがたくさんいますよね?精霊もいますし、ゴーレムも…。その中でチー・モーリョは、原作では本当に数コマしか登場しないにも関わらず、ファンの間で非常に有名で、ある種ミーム化している存在です。この、少し「ばかげている」とも言えるような意外な選択が、ディアブロ4の非常にダークでシリアスな世界観の中に、ちょっとした「光」やユーモアをもたらしてくれるのではないかと考えました。

また、これはベルセルクのコアなファンダムに対する私たちからの一種の目配せでもあります。そして、Blizzardには「プレイヤーに楽しみを提供する」という開発哲学がありますが、チー・モーリョはこの哲学にも合致する選択だと感じました。原作ソースへの忠実さと、プレイヤーへの意外な楽しみ提供、その両方を満たす選択だったのです。

Salim:ディアブロ イモータルがゴーレムを選んだのは、まずディアブロ4がチー・モーリョを選んだので、差別化を図りたかったというのがあります。その上でゴーレムに注目したのは、原作で様々なサイズや形状のゴーレムが登場する点です。これをゲーム内で「カスタマイズ可能」なペットとして実装したら面白いのではないか、とベルセルクチームに提案しました。

例えば、プレイヤーが葉っぱや光るキノコといったアイテムでゴーレムを自由に飾れるようにする、といったアイデアです。幸い、この提案は原作サイドに快く受け入れていただけました。結果として、ディアブロ イモータルならではのユニークでインタラクティブなペットを提供できたと考えています。

――最後に、ディアブロ4、ディアブロ イモータルそれぞれの開発者を代表して、日本のディアブロファン、そしてベルセルクファンに向けてメッセージをお願いします。

Salim:ディアブロ イモータルチームは、今回のコラボレーションにあたり、原作ベルセルクへの敬意を込めて、ゲーム内のあらゆる箇所に原作への小ネタやオマージュを本当にたくさん散りばめるよう、心血を注いで努力しました。ファンの皆さんにはぜひゲームをプレイしながら、それらを見つける楽しみを味わっていただきたいです。中にはすぐに分かる明白なものもあれば、少し注意しないと見逃してしまうような、ちょっと隠されたものもあります。

このコラボレーションを通して、ディアブロ イモータルの世界でベルセルクの体験を心から楽しんでいただけたら嬉しいです。そして、もしこのコラボをきっかけにベルセルクに興味を持ったディアブロプレイヤーの方がいらっしゃれば、ぜひ原作漫画を手に取ってみてください。ベルセルクは紛れもない傑作です。私たちは、その偉大な作品の価値を損なうことがないよう、最大限の努力を払いました。

Kosty:ディアブロ4開発チームには、先ほども言ったように、ベルセルクの熱心なファンが数多く在籍しています。皆、このプロジェクトに関われたことを本当に光栄に思い、大きな興奮と情熱をもって開発に取り組みました。このコラボレーションは、私たち開発チームから、ディアブロとベルセルク、両作品を愛する全てのファンへ贈る「ラブレター」のようなものです。ゲームをプレイして、その想いを感じ取っていただけたら幸いです。

そして、このコラボが、ディアブロファンにとってはベルセルクの魅力を知るきっかけに、ベルセルクファンにとってはディアブロの世界に触れるきっかけになれば、これ以上嬉しいことはありません。両方の偉大なIPへの最大限のオマージュを込めて作りました。ぜひ楽しんでください!


今回の合同インタビューでは、開発者たちの原作『ベルセルク』への深い敬意と、ディアブロの世界観の中でその魅力を最大限に引き出そうとする並々ならぬ情熱がひしひしと伝わってきました。

細部にまでこだわり抜かれたアートワーク、原作のストーリーや雰囲気を巧みに落とし込んだゲームメカニクス、そしてファンへの深い理解に基づいたアイテム選定など、まさに開発チームからの「ラブレター」と言える内容でした。ぜひゲーム内でこの壮大なクロスオーバーを体験し、開発者たちの熱い想いを感じてください。


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ライター:いーさん,編集:TAKAJO

ライター/絶滅危惧種アメリカ在住ライター兼YouTuber いーさん

YouTubeやりつつ様々な媒体で執筆中

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編集/いつも腹ペコです TAKAJO

Game*Spark編集部員。『Crusader Kings III』と『Mount & Blade II: Bannerlord』に生活リズムを狂わされ続けています。ちなみに好きな映画は「ダイ・ハード」、好きなアメコミヒーローは「ナイトウィング」です。

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