
2004年に映画監督・黒澤明氏の遺稿を元にしたメディアミックス作品として企画が発足し、2017年に第一作が登場したアクションゲームシリーズ『仁王』。有名武将や妖怪と戦う戦国ソウルライクとして人気を博していますが、この度最新作『仁王3』のアルファ体験版が配信されました。
早速プレイしてみたところ、今までのシリーズが培ってきたアクションゲームとしての面白さが、シリーズ初のオープンワールドの採用によってさらに輝きを増したように感じられました。

竹千代の若き頃を描く物語 将軍として戦乱の世を平定せよ
物語は『仁王2』の冒頭(1555年)からしばらく経った1570年代。あるひとりの若き武者が、武田軍に襲われる徳川軍を救うところから始まります(体験版は2章からスタートしたので、本編ではもう少し手前の設定が細かく語られることでしょう)。

主人公である若き武者は、徳川軍の陣地を牛耳る武田四天王がひとり山県昌景を倒し、本田忠勝に認められました。なおキャラメイクがあるので好きな見た目にできますが、体験版では項目ごとに細かく変更することはできませんでした。

主人公は自らの名を「竹千代」(徳川家の者が代々語る幼名)と名乗りました……ということは徳川家の誰かなのでしょうか? まだわかりません。竹千代は本田忠勝からあやかしに占拠された浜松城の奪還を命じられ、魑魅魍魎が跋扈する浜松へと向かいます。

チュートリアルエリアを抜け出し、小高い丘の上から浜松一帯を見下ろす竹千代。怖ろしげに赤く染まった空に『仁王3』のタイトルバックが表示され、めちゃかっこいいです。今作がオープンワールドであることをまざまざと感じさせます。

本作は前作『仁王2』同様に、ソウルライク×ハクスラのゲーム性を保っています。
武器や防具はすべて「名物」「大名物」などといった具合にレアリティが定められており、敵を倒したり、宝箱を開けたりするとランダムでドロップします。「揃い効果」という名前が同じ武器・防具をセットで着けることで、さらに効果を発揮するものもあります。
何度も強敵に挑み続けるチャレンジングな遊びと、レベル上げをしながら良い感じの装備を集めるハクスラの楽しさが今回も詰まっていました。特に体験版の段階から揃い効果のある装備を集めて強くすることができたのは良かったですね。

ミッション制からオープンワールドへ――どこからでも挑戦できる楽しさ
本作の最大の特徴は、シリーズ初のオープンワールド(開発はオープンフィールドと呼称)を採用したことです。これにより、自然豊かなマップを目で楽しむことかできるようになったほか、攻略の面でも幅が広がりました。
たとえば、下記画像のように、棚田の真ん中を歩く巨大な妖怪の影が見えることがあります。向こうは進行方向ではないので、無視して通り過ぎることも、あえて今挑みかかってもよいわけです。

今までの『仁王』ではミッションの最後に現れるボスを倒さなければ絶対に進行しませんでしたが、今回はメインミッション以外はどう遊んでも問題ありません。
なにより、道を歩いていると遠くに巨大な妖怪が見えてくる感じは、オープンワールドならではです。恐ろしいけどどこかワクワクしますね。

マップにはいくつかのアクティビティがあり、オープンワールドに必要な要素はしっかりと用意されています。
各地の妖怪を倒したり、小地獄という敵のウェーブを捌き切るミニチャレンジを達成したり、敵の拠点を潰したり、人々の幻影から頼まれるサブミッションをこなしたりすると「探索度」が上昇しそれに応じて様々な報酬が得られます。

やはりソウルライク×ハクスラという建付けだけあって、チャレンジの報酬はすべてキャラクターのパワーアップに向いているので、とにかくキャラを強くして強敵と戦いたいという人にはたまらないでしょう。
逆に、空から雄大な自然を眺めたり、独立したミニゲームを楽しんだり、人々の生活を覗いたりといった要素は全くなさそうなので、まさしく『仁王』のオープンワールドといった感じを覚えました。

とことんバトルに寄ったオープンワールドゲームではありますが、結局のところバトル自体が面白いので、いくら遊んでも飽きることがなさそうです!
3作目にしてさらに進化を遂げるバトルシステム サムライとニンジャを切り替えて華麗に戦え

なんといっても『仁王』はバトルですよね。今作も基本的には『仁王』『仁王2』と同じく、高難易度アクションゲームとして仕上がっています。最大の特徴は「サムライ」と「ニンジャ」を切り替えて戦うという点です。

サムライは正々堂々と正面から切り結ぶスタイルです。刀、槍、大太刀を装備できます。
こちらは『仁王2』の戦い方を引き継いでおり、ある上・中・下段の「構え」と、攻撃後にR1ボタンを押すことで瞬時にスタミナを回復しつつ(妖怪にバフがかかるエリアである)常夜を祓う「残心」ができます。また、新しいフィーチャーとして、ある程度攻撃を入れると「技研ぎ」というゲージが溜まり、△ボタンの長押しで大ダメージを狙えるようになったことと、敵の攻撃に合わせてL1ボタンを押して「捌き」というパリィアクションが使えるようになりました。

一方でニンジャは、手数で押すスタイルです。忍二刀、手甲鉤、鎖鎌が装備できます。また、攻撃後にR1ボタンで「霞」を発動し、敵の背後を取ることができます。ニンジャなので当然「忍術」を用いることもできます。「手裏剣」や「土遁」などで比較的安全に敵にダメージを与えることができ、空中殺法もお手の物です。

これらのスタイルはR2ボタンの「転心」でいつでも切り替えることができ、転心の際には敵の赤く光る大技をパリィすることができるので、どちらのスタイルだけに偏ったゲーム体験にならないよう気を使っていて素晴らしいですね。

また、専用ゲージを溜めることで「九十九化」という大変身ができるのもシリーズならではのフィーチャーとして残っています。ここぞという時に変化し、大ダメージを叩き込んでやりましょう。気持ちいい~!

もちろん、これらバトルを支える大量のビルド要素も本シリーズならではです。妖怪からドロップする「魂代」を付け替えて逆にこちらが強力な妖怪を召喚してやったり、「スキル」を組み替えてニンジャなのに常夜を祓えるようにしたり、マップに散らばる迷子の「木霊(こだま)」に帰り道を教えることで彼らから加護を受けたり、空中を漂う「千々古(ちぢこ)」を撃ち落として貴重なアイテムを貰ったりと、色々な要素が用意されています。それらすべての報酬がバトルとビルドに直結しているんです。て、徹底している!

そして、忘れてはいけないのが、ぬいぐるみにもなった『仁王』の代名詞、すねこすり!
人のスネにくっついてくる妖怪ですが、今回もめっちゃくちゃ可愛いです。撫でてあげるとちょっと良いことがありま……あっ、どこ行くの……逃げないで……。


あやかしに落とされた浜松城を攻略しよう ステージ制のダンジョンも存在

体験版のラストを飾るのが「浜松城」です。のちに徳川家譜代大名の居城となりますが、この頃はどうやらあやかしに占拠されていたようです。勉強になりますねッ!
外観にはおどろおどろしい骸骨の飾りが付けられ、辺りにはマグマ溜まりまでできて、ヘビーメタルバンドのジャケットみたいになってしまった浜松城……それでは、潜入してみたいと思います。

こちらは「地獄」という呼称で、ステージクリア型のダンジョンになっています。
城下は妖怪が跋扈し、そこら中に武士の死体が落ちています。倒れた家屋や骨などを昇り降りしながら、ショートカットを開通させつつ、本丸を目指します。
城のなかで待ち構えていたのは「蛇骨婆」という妖怪でした。何体もの蛇を首から引っ提げ、リーチの長い掴み攻撃をしてきます。鬱陶しい!

ここまでレベルを上げまくっていたため、そこまで苦戦することもなく倒すことができました。
ここでアルファ体験版は終了。クリアすることで本編に引き継げる装備アイテム(兜)を貰えます。こちらの体験版は6月18日までの期間限定なので、お早めに!

ミニマップが拠点やミッションマーカーだけしか表示してくれないのであまり意味を成していない点や、FPS優先モードでもたまにフレームレートが落ちてしまう点、探索度を上げるためにはとにかくマップを隅々まで歩いてイベントを探さなければならない点など、製品版までに直して欲しいところはいくつかありましたが、すでに過去の『仁王』シリーズを凌駕する面白さを感じています。

強敵を倒す達成感と、地道にビルドを組んでいくハクスラ体験はそのままに、オープンワールドの楽しさまで合わさったまったく隙がない『仁王』が誕生するかもしれません……。アクションゲームファンなら間違いなく要チェックです!
『仁王3』アルファ体験版は、PS5向けに6月18日までの期間限定で配信中です。