今やPC/コンソール/モバイルそれぞれのプラットフォームでサバイバルジャンルの作品は定着していて、多くのプレイヤーがさまざまな世界を舞台にサバイバルを楽しんでいます。
Game*Sparkでは【クラフトサバイバル名鑑】として、同ジャンルが好きな筆者が、定番作品を中心にクラフトサバイバルジャンルの作品の魅力を紹介・解説しています。今回紹介するのは、2025年4月18日にSteam早期アクセスを開始した冒険アドベンチャー『Lost Skies』です。
天空の島々を旅して古代の秘密を解き明かせ
『Lost Skies』は、イギリスを拠点とするゲーム開発スタジオBossa Studiosが手がける作品(パブリッシャー:Humble Games)。Bossa Studiosはこれまで『Surgeon Simulator』『I am Fish』『I Am Bread』など多くの高評価作品を生み出したことでも知られています。
本作は2023年5月に発表されました。舞台となるのは、世界を浮揚させている未知なる力「アトラス」により、多くの古代遺跡や文明の痕跡が残されている天空の島々。プレイヤーは自分だけのスカイシップを作り出し、さまざまな脅威に立ち向かいながら、世界を冒険していきます。
Bossa Studiosは過去に同じような世界観を題材にしたMMO『Worlds Adrift』を2017年にSteam早期アクセスで配信していましたが、2019年をもってサービス終了しています。『Lost Skies』では、同作のコンテンツを使用しているほか、過去にプレイしていた人向けの無料DLCを配信しています。
記事執筆時点(2025/6/5)の早期アクセス版では、最初の空域とボスとの戦いを体験可能。製品版への以降は第3四半期を目指していて、今後は新たな島、空域などのコンテンツを追加予定。また、オリジナルの島を作れるツールも夏に公開予定で、Steamワークショップを通じてアップロードできるようになるようです。


古代の謎が残る空の世界を探索!
『Lost Skies』の世界は、まずキャラクターとワールドを別々に作る必要があります。本作のキャラクターメイクは、それぞれの祖先という形式での基本的な姿を決定し、後は体格や髪の色、フェイスペイントなどを変えていきます。それぞれの民族のディティールも読めるのも嬉しいところです。
ゲームはプレイヤーが「アーク」と呼ばれる施設で目を覚ますところから始まります。数世紀ぶりに目覚めたプレイヤーは記憶障害が残っているようで、まずはアークに備え付けられたサバイバルアシスタント「SAS」から、外の世界で生きるための知恵をチュートリアル形式で学んでいきます。





本作は冒険しながらクエストを進めていく方式で、まず基本的なクラフトを学んだ後に「次の島に渡る」という目的が提示されます。空に浮かぶ島を渡るためには専用のツールが必要で、最初にグライダーを作って空を滑空する方法を知り、その先ではグラップリングフックが入手できます。
ゲーム内では移動用ツールの使用と、壁面を掴んで移動する組み合わせで、かなり厳しい斜面や崖も簡単に移動できます。最初の群島では移動や戦闘、採取、簡単な謎解きなどを覚えながら、最後に世界を冒険する鍵となるスカイシップの造船施設を設置するのが大きな目的です。




スカイシップを作り、空の先に見える島を目指すことで『Lost Skies』の冒険が本格的にスタートします。ここまでの工程は結構長いですが、その分しっかり準備できますね!



スカイシップは自由に設計可能!
プレイヤーの相棒となるスカイシップは、ゲーム内で造船所を作ることで製造可能になります。船は複数のフレームを組み合わせて製作する方式で、各セクションに分かれているフレームを調整することで大きさや角度などを変更することができます。
船の運航に必要なのは、船として登録するための「コア」、運転するための「舵」で、速度を出すための「帆」や「エンジン」などのパーツも重要です。後のスペースは重量やエネルギーの範囲内である程度自由に使えるので、チェストや生産施設を置くとこもできます。もちろん、ベッドや家具を置いてくつろぐのもいいですね。




ゲームが進むことで、造船に使用できるパーツや素材も増えていきます。大砲を装備すれば、島で襲ってくる怪物やドローンにも対抗しやすくなりますし、帆を増設してスピードや旋回性能にこだわることもできます。ロマンを求める人は、船首にラムを付けて思い切りぶつかることもできますよ。
また、少し分かりづらいのですが、本作は建築時に素材を指定可能で、例えば木材でもレアリティによって性能は異なります。世界を巡るうちにどんどん新しい金属なども手に入るので、お気に入りの船をしっかり強化していきましょう。ありがたいことに、解体すれば素材は回収可能です。




デザインに自信がないという人向けにも、初期でプリセットは用意されています。ゲームの進行で船のセクションも追加できるようになるので、まずはデフォルトの船を使いつつ、不便に思った部分を改修・増設していくといった運用も可能。造船所は簡単に作れるので、冒険の先々で船を改造できるのは大きな魅力です。




島々を巡り世界の姿を解き明かせ
『Lost Skies』は、スカイシップで空域内の島を巡りながら技術力を上げ、やがて空を飛んでいる巨大な機械生命体「ヘラルド」を破壊するのが大きな目的です。しかし、移動するのがやっとの初期の技術力では勝ち目もないので、まずは島を探索して残された古代遺産を見つけ出すことが先決です。
島中には多くの資源があり、木を切ったり鉱石を採掘したり、生物を倒して肉や素材を手に入れることができます。本作の食料は、摂取すると一定時間HPとスタミナのバフを得る『Valheim』に近い方式。食材を料理すれば効果が上がるので、冒険前にしっかりと準備しておきましょう。





先人が遺したチェストからは、クラフト用の設計図も入手できます。多くのチェストは施設の中や隠された洞窟などの中にあり、中にはちょっとしたパズルや謎解きが必要なものも。死体の近くにあるログにもヒントが隠されているので、しっかりと観察しながら答えを導き出しましょう。
また、遺跡内で「データディスク」を入手してアーク内のSASにアクセスすれば、より高度なクラフトレシピも入手できます。最初に主人公が目覚めたアークは色々な島に同様なものがあり、見つけると世界の情報も少しずつ増えていきます。データディスクの活用のためにも、アークは積極的に探していきましょう。





謎解きには島全体を利用する大規模なもの、護衛する敵を倒すもの、オブジェクトの重量を操作するものなど、さまざまなものがあります。本作はフックやグライダーを活用することで、島の底までくまなく探索可能です。崖の途中に洞窟やキャンプがある、といったことも珍しくないので、臆せずに飛び降りる勇気を持つことが大切です。





各要素は魅力抜群!ただ最適化不足も目立つ
現在早期アクセス中の『Lost Skies』ですが、冒険や戦闘、クラフトや造船といった要素はしっかりと楽しむことができます。空域の中央の島から始まって、外の島や空を目指すというコンセプトも魅力があり、どんどん新しい素材が入手できるのもクラフトサバイバルの醍醐味と言えるでしょう。
ただし、現時点ではかなり説明が足りない部分も多いことは否めません。先述の造船時の素材の指定や効果の違いなどもそうですが、武器に必要な弾薬の表記がなかったり、操船などの操作における細かな案内が少なかったりと、遊ぶために必要な部分が少し分かりづらい印象です。



これはゲームデザインで意図的にそうしているとは思うのですが、基本的にマップがなく、どの島を訪れたのか分かりづらいという問題も。コンパスはあるのでなんとなくは分かるのですが、外の島は雲で見づらく「あの島もう行ったんだっけ?」となることも珍しくありません。方向音痴にはつらすぎる……!
ゲーム自体の最適化不足の部分もあり、突然ツールが使えなくなったり、UIが消えなくなったり、ゲームがクラッシュすることも。積極的にアップデートは行っており、既知の問題リストなども公開しているので、こちらは今後の改善に大きく期待したいところです。



『Lost Skies』は、未知の空の世界への冒険を通して、さまざまな探検や戦闘、クラフトなどを楽しめる作品です。新しい島を目指すために船の強化や準備をして、島の探索で素材やレシピを手に入れ、再び新しい冒険の準備に備えるという、とても楽しいローテーションを現時点で楽しめます。
一方でSteam早期アクセス中ということもあり、最適化不足の面があることも否めません。説明不足や不具合だけでなく、日本語翻訳も一部気になる部分があったり、そもそも翻訳されていないところも多かったりと、細かな部分で今後の改善に期待したいところもあります。


冒険の鍵を握るスカイシップのカスタム性の高さは本当に魅力的です。船を降りているときでもグライダーやフック、よじ登りを駆使した自由な移動は快適で、難しい移動の先にチェストや貴重な素材が隠されているような“ご褒美”もしっかりあります。
正式版に向けてコンテンツが増えるだけでなく、ツールの公開で島自体もデザインできるようになります。コミュニティの盛り上がりがゲームのさらなる発展に繋がりそうなので、広大な空を自分の機体で旅するという部分に魅力を感じる人は要チェックですね!




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